2014年5月アーカイブ

FXにおける"ヘッジ"の2つの意味

具体的な為替ヘッジの手法を勉強する前に、まずはヘッジ会計につながるコンセプトとして、そもそもヘッジとは何かを簡単に知っておかなければいけません。

その1つ目の意味は、FXのポジションを打ち消すことにより、為替リスクを相殺させることです。売掛債権1百万米ドルを保有するA社の場合は、円相場での「米ドルの買いポジション1百万」を抱えていると解釈できます。

なぜなら、将来に販売代金が回収されると入金のCFが生じるため、米ドルを1百万買って実質保有している状態に他ならないからです。

このA社のポジションを打ち消すには、代金回収時に合わせて「米ドルの売りポジション1百万」をメイクすればいいです。

ちなみにIFRSの"CFヘッジ"(あるいは現日本基準の"繰延ヘッジ")が、このようなポジション相殺の考え方に基づきます。

もう1つの意味は、為替変動に対する資産の時価変動の影響を打ち消すことで、為替リスクを相殺させることです。1円の円高につき1円の差損が生じるA社のケースでは、1円の円高につき逆に1円の差益が生じる状態を作ってやることにより、きちんと為替ヘッジできます。

すなわちA社は、米ドルの売り1百万を実行すればいいのです。


IFRSの"公正価値ヘッジ"(あるいは現日本基準の"時価ヘッジ")が、この相場変動の資産時価への影響相殺のコンセプトであることを、あらかじめ言っておきます。

A社のケースでは、対象の実需取引が1件のみでしかも完全ヘッジであるため、為替ヘッジ策はどちらの意味のもとでも共通となります。

ただし、対象の実需取引が多数あって、たとえば入金予定の月ごとに一括してヘッジを行う"包括予約"の場合には、互いに異なるヘッジ策となり得るのです。